home

ミステリの祭典

login
残花繚乱

作家 岡部えつ
出版日2014年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 猫サーカス
(2023/07/11 18:37登録)
不倫相手である上司の妻から見合い相手を紹介された、西田りか。外資系の大手証券会社で職場結婚したものの、夫が会社をリストラされた滝本泉。インテリアコーディネーターとして、男性と対等に渡り合って仕事をしている、シングル志向の桐山麻紀。三人は、ある書家が主催する書道教室で知り合い、親しく付き合っている。年も職業も背景も違う三人は、書道仲間という互いにちょうど良い距離感を保った関係だったのだが、りかが結婚式の準備を二人に手伝ってもらったことから、その関係性に少しずつ綻びが出てくる。三十代前半のりか、三十代後半の泉、四十代前半の麻紀。もう若さを言い訳にできない三人の女たち、三者三様の愛。さらには、りかの不倫相手の妻で、母としても女としても常に完璧であろうとする美津子と、そんな美津子を嫌悪する高校生の娘・美羽。女たちが心に抱える昏い感情を、それぞれの視点からじっくりと炙り出していく。女という性、女という生き方に真正面から向き合い、多角的に描くことでその狡さも悪意も切なさも可愛らしさも、ありのまま描いた物語だ。その根底にあるのは、生き辛さを抱える女たちへの、熱いエールである。

1レコード表示中です 書評