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ミステリの祭典

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山岳捜査

作家 笹本稜平
出版日2020年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 びーじぇー
(2023/07/10 21:23登録)
長野県警山岳遭難救助隊の隊員が休暇を利用して残雪期の鹿島槍ヶ岳北壁に登る途中、はるか下の雪渓に不審なテントと登山者を見かけるところから物語は始まる。作者は山岳、推理、警察といった幅広い分野の知識を持ちながら、それらを巧く抑制して取りこみ、物語の勢いを落とすことなく活用しているのは見事だ。その抑制の効いた知識の披露は作品の魅力のひとつでもあるし、エンターテインメント作品としての完成度を高める要因になっている。
また、コンピューターやスマホといった情報技術や製品の機能、セキュリティーについても現実世界で起きていることが反映されている。
カテゴリーを超えた作品だが、主な舞台が山岳地帯で登山行動の描写も多い。山岳登攀シーン、ヘリコプターの描写などは、若干違和感のある部分もなくはないが、読み応えのある作品だ。

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