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ミステリの祭典

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名無しの十字架

作家 郷一郎
出版日2012年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2023/07/04 22:16登録)
虎と戦った人間がいる。そのフィルムを探し出せ―アンダーグラウンドフィルムの手配師・三上哲平に持ち込まれた怪しい依頼。莫大な報酬につられ、引き受けることにした三上は、瀕死の重傷を負いながら、今もどこかで生きていると噂される伝説の男を追うが…!?渦巻く欲望、交錯する男と女、顔も名前も失った哀しき男の復讐―退廃的空気漂う横浜で燃え上がる陰謀劇の行方は!?衝撃の都市伝説ノワールミステリー。
『BOOK』データベースより。

読まなければならない本があまりに多すぎて、どれから読んで良いのか迷いながら家中の本の群れからたまたま目に付いて手に取った一冊でした。いつ買ったのかも何故買ったのかも最早思い出せません・・・。

これはジャンル分けが難しい。ミステリの様でもありそうでない様でもあり、感触がハードボイルドっぽいのでそちらに投票しましたが、あまり拘らないで下さい。
それにしても、この人の文章は群を抜いて上手いです。言葉のチョイスが絶妙だし、情景描写も情緒的で素晴らしく、全く淀みの無い文体の流れも非常に心地よいものがあります。私はこの文章力に憧れに似た気持ちを抱きました。書けそうで書けないと云うね。しかし、これ一作で終わるのは如何にも勿体ないです。大物プロデュ―サーによるものではないにせよ、映画化されている訳だし。

最後まで7点にしようか迷いましたが、結局公平に見てそこまで突出したところがないと判断し、6点としました。ただ、エンターテインメントとして非常に優れており、その点では評価できます。無名の作家による無名の作品ではありますが、一部のマニア向けという訳では決してなく、一般大衆に広くお薦め出来る佳作だと思います。読んでみればとても丁寧に書かれたのが実感されるはずです。

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