アブソルート・コールド |
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作家 | 結城充考 |
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出版日 | 2023年04月 |
平均点 | 7.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 7点 | 麝香福郎 | |
(2025/07/05 20:30登録) 舞台となる見幸市は、夢見られていた未来都市とスラム化した迷宮が混然となった世界。高層ビルが林立する町の住民は二分化され、それぞれ「高層人」「地上人」と呼ばれている。高層人とは、ビルの屋上にバラックを立てて暮らす寄生種族のようなもの。ビルの電気設備のメンテナンスで生計を建てており、正規の市民とはみなされていない。少女コチは高層人で、コチたちは「横断機」という装置を使ってワイヤ伝いにビルからビルへと移動する。 コチのほか、主要な登場人物が二人いる。そのうちの一人、クルミは二十二歳の男性警察官で優れた射撃の腕を持つ。もう一人、ビトーは私立探偵で。今回のテロ事件の捜査に独自の立場で関わることになる。 人工知能関係の様々な自動端末、廃れた工場を動き回る機械たち、モルールの軌道上で繰り広げられる銃撃戦。盛りだくさんのアイデアを詰め込み、それらをきっちりと組み立てたストーリーが語られる。人と機械の境界が溶けあい、生と死の境界が取り払われる。魅力的かつ戦慄すべき未来絵巻である。 |
No.1 | 7点 | 虫暮部 | |
(2023/06/22 12:20登録) サイバーパンク作品としての目新しいアイデアは特に無い。ハード・ボイルドの物語としては読ませる力作。但し、細切れにしてくるくる視点を移す書き方が、本作ではあまり生きていない。気分が乗った途端に場面転換してばかり。 “来未” が幾度と無く “未来” に見えた。このネーミングは良くない。百のキャラクターはいいね。“小猿型” の設定でこんなに萌えるとは。 で、持ち越されたままの三角関係はどうなるのかしら。 |