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ミステリの祭典

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アルセーヌ・ルパンの第二の顔
贋作アルセーヌ・ルパン ボアロー&ナルスジャック作品

作家 アルセーヌ・ルパン
出版日1976年10月
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 クリスティ再読
(2023/06/18 11:56登録)
ボア&ナルの贋作ルパンの3作目。前作「バルカンの火薬庫」で作者はバレたから、本作からは堂々と原著もボア&ナル作を謳っている。けど、新潮文庫では今までの流れから作者は「アルセーヌ・ルパン」のままで、小さく「ボアロー=ナルスジャック」のカバー表記。背表紙は「アルセーヌ・ルパン」単独。扉ページでは「ボアロー=ナルスジャック」で、文庫本体は「ボアロー=ナルスジャック」と一貫性がない上、カバー折り返しではシリーズの一貫性を維持して「アルセーヌ・ルパン」。知らんよ、ホントの作者とか。

今回は「奇岩城」で恋人レイモンドを失って、盗賊稼業を廃業中のルパン。でも奇岩城の財宝が、「爪」を名乗る盗賊団に強奪された!ルパンに挑戦する気マンマンの「爪」一味の正体を暴こうと、ルパンは秘かに「爪」一味に潜入した!しかし「爪」の首領はルパンの正体を見破って....謎の美女、妻を一味に殺された峻厳な検事、ルパンを慕って一味を裏切る青年などなど、ルパンと「爪」の対決の行方は?

こんな話。謎の美女に峰不二子テイストがあって、ルパンと濃厚なキスをしたりするシーンあり。ルパンが身元を隠して一味に潜入するあたり007っぽい味わい。いや007ってある意味ルパンの子孫なんだな、とか思う。
だから「ルパンっぽさ」はわりと薄いし、話も地味。さらに「爪」の首領の正体はお約束っぽいし、今回はルパンが翻弄されっぱなしで、ヤキが回ってる?

というわけで、新潮文庫3作の中では一番落ちる。
シリーズ次作のサンリオ「ルパン、100億フランの炎」は、すでにボア&ナル名義での人並由真さんのご書評があるので、そっちで。

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