home

ミステリの祭典

login
漂流都市

作家 嶋戸悠祐
出版日2023年02月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2023/06/08 22:11登録)
家電量販店売上高ナンバー1を目指すR電器は、未開の地であったK市へ出店をすることとなった。
しかしK市は、轟家電という量販店が一強となり、R電器の参入を許さない状況だった。
轟家電はK市の人口の多くを占める老人に対して細やかな接客対応をするとともに、どうやら街全体で老人の生活サポートを行うことで客を逃がさないようにしているようだ。
轟電器、そしてK市に潜む壮絶な事実とは一体ーー!?
Amazon内容紹介より。

全編不穏な空気に覆われているのをひしひしと肌で感じる、異色のサスペンス長編です。東北のK市で大手チェーン店でもないのに、一人勝ちしている轟家電とは一体どの様な手法を用いて顧客を獲得しているのか、それは謎に満ちた存在で、そこを中心に物語は進行していきます。そして徐々にそのベールが剥されていくごとにキナ臭い匂いが漂います。轟家電の舞台裏で実際に行われている真実とは何か。

プロット、ストーリー、人物描写等申し分なく、地味ながら作者の力量が伺える佳作となっていると思います。文章も読み易いし、エンターテインメント性に優れている為、ひと時も飽きることなく最後まで楽しめました。万人受けするとは思いませんが、ちょっと変わった小説をお求めの方にお薦めです。

1レコード表示中です 書評