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ミステリの祭典

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魔女の標的
少年ウルフガイ・シリーズ ほか

作家 平井和正
出版日1974年10月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 人並由真
(2023/06/03 18:04登録)
(ネタバレなし)
 たぶん(当時の)角川文庫のオリジナル中短編集。全部が広義のSF、またはホラー、ファンタジー。

 表題作、『悪戯』『"女狼"リツコ』の三本の中編(または長めの短編)がハシラで、あとは長くても10ページちょっと~ショートショートの小品が8本。
 
 ちょっと電車で出かけるので、車中のお供にと、大昔に購入したままで、少し前に自宅の奥から出てきたこれを手にとった。

 表題作は、美貌の新任魔女教師が、主人公のいる学園を蹂躙する話。眉村卓の『闇からのゆうわく』によく似た設定だが、広い目で見れば漫画やドラマをふくめて21世紀の今ならあちこちにありそうな話。最後のメッセージ性というか主張は、この時期の平井らしい。

『悪戯』は、近未来の科学文明がいびつに進化した世界で、学生たちが新任の男性教師にあるイタズラを試みる話。1960~70年代の旧作だろうが、のちに出て来る某作品を想起させたりした。

『"女狼"リツコ』はもともとこれが目当てで購入(でもウン十年読まずに放っておいた・汗)で、少年ウルフガイ系の作品というから『博徳学園』みたいな、少年・明シリーズのパラレルワールド編だと思っていたら、嬉しいことに正編だった? 『狼の紋章』の直前の時期の世界線のエピソードとして、矛盾はないと思う。何か気づかない不整合があったら、教えてたもれ。
 得した気分と同時に、さすがにこれはもっと早く読んでおけばよかったと軽く後悔。

 残りの短編群は玉石混交という感じで、オチものらしいがそのオチがよくわからない話(『壁の奥の恋人』)がある一方で、21世紀の今なら「✕✕✕……」ものとして一言で片づけられそうな着想に真摯に純朴に向き合ってるなあと感慨を抱くような作品(『淋しい草原に』)などもある。ただ全般的に、昭和の旧作SF感は良くも悪くも……である。
 
 ハシラの中編3本が得点を稼いで、それを何本か短編が応援して、この評点で。 

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