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ミステリの祭典

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龍山寺の曹老人
曹老人

作家 林熊生
出版日1980年06月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2023/06/02 23:04登録)
(ネタバレなしです) 金関丈夫(かなせきたけお)(1897-1983)が植民地時代の台湾で林熊生(りんゆうせい)名義で書いたミステリーは長編本格派推理小説の「船中の殺人」(1943年)と、どこかとぼけた感じのする曹老人を名探偵役にした短編本格派推理小説が知られています。後者は全部で7作が確認されていますが、台湾で1945年に5作が出版された記録があるものの残りの2作についてははっきりしていません(戦局の悪化で台湾では未出版だった可能性もあります)。ようやく日本で全7作が初めてまとめられたのは金関丈夫名義での「南の風 創作集」(1980年)です(これには非ミステリーの歴史小説、詩、俳句、戯曲なども一緒に収められています)。短編ゆえ仕方ないところではありますが、「船中の殺人」と比べると謎解き伏線が十分でなくて読者が推理に参加する余地があまりありません。その中では密室殺人を扱った「入船荘事件」が1番充実していると思います。「謎の男」は大掛かりな犯行計画が印象に残ります。

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