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ミステリの祭典

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Le pouce crochu

作家 フォルチュネ・デュ・ボアゴベ
出版日2006年02月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点
(2023/05/22 21:30登録)
原題の意味は「曲った親指」、1885年に発表された作品で、快楽亭ブラックにより『かる業武太郎』(別題『剣の刃渡』)の邦題で1/3以下に短縮翻案されています。翻案には改良になっていないと思われる改変がかなりあり、また原作のトリックや意外性演出を全く無視しています。これは語り聞かせる講談だからでしょう。話を単純化しなければ聴衆は付いて行けません。
タイトルに関するトリックはごく単純ですし、犯人の正体は3/4ぐらいの時点でどんなに鈍い人でも気づくように書かれています。しかし、その直後、読者が気づくからこそのサスペンスを演出し、さらに前に出てきた獰猛な犬を再登場させることでスリリングなシーンを持ってくるなど、たたみかけのうまさには感心させられます。その直前の章の地下蔵爆発シーンも、100年後のハリウッド映画を思わせる危機一髪連続です。書かれた時代を考慮すれば、少しおまけしてこの点数で。

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