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ミステリの祭典

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漆黒の慕情

作家 芦花公園
出版日2022年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2023/05/20 22:46登録)
塾講師の片山敏彦は、絶世の美青年。注目されることには慣れていたが、一際ねっとりした視線と長い黒髪の女性がつきまとい始める。彼を慕う生徒や同僚にも危害が及び、異様な現象に襲われた敏彦は、ついに心霊案件を扱う佐々木事務所を訪れる。時同じくして、小学生の間で囁かれる奇妙な噂「ハルコさん」に関する相談も事務所に持ち込まれ……。振り払っても、この呪いは剥がれない――日常を歪め蝕む、都市伝説カルトホラー!
Amazon内容紹介より。

色々残念な作品というのが個人的な意見です。所々切り取れば、かなり面白かったり怖かったりするのです。例えば学校の七不思議の件や電話越しに登場する、四国の拝み屋の青年物部の凄みなどはテンションの上がるシーンと言えるでしょう。ただし、全体的に俯瞰すると話があっち行ったりこっちへ行ったりと、煩雑になり過ぎだと感じます。視点も目まぐるしく変わり、読んでいてどうにも据わりの悪さを覚えました。結果纏まりに欠け、折角の極上の食材を美味く料理出来なかった印象が拭えません。

世評の高さも理解出来ない訳ではありません。ホラーとしての怖さはそれなりにありますし、キャラも立っていると思います。しかし、何処が見せ場なのかと問われると即答できないもどかしさが蟠っている様な感覚が消えません。ラストも驚くべきなんでしょうが、はあ?って感じでしたね。
どなたかが読んで高評価を下したとしても、率直に凄い読解力だなと思うだけです。本来なら読者としてはそうあるべきなのかも知れませんし。

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