home

ミステリの祭典

login
眩暈
私立探偵畝原

作家 東直己
出版日2009年03月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2023/05/18 22:59登録)
私立探偵の畝原はある夜、なにかから逃げている様子の少女を目撃する。乗っていたタクシーで慌てて引き返すものの、少女の姿は忽然と消えていた。翌日、無残な遺体となって発見される少女。畝原は、自責の念から独り聞き込みを行うが、少女の両親の態度に不審を抱くのだった。さらに、かつて連続殺人を犯した少年が周辺に住んでいるという噂が…。果たして少女殺害事件との関わりはあるのか。そして第二の殺人事件が―。私立探偵・畝原シリーズ待望の文庫化。
『BOOK』データベースより。

こういうので良いんだよ。仕事が出来てちょっと格好良くて、家族を愛し、少しだけ哀愁を漂わせる。ハードボイルドはこういうので良いんだと思います。それにしてもとにかく気になるのが訳ありな家族構成。バツイチでシリーズ途中で再婚し娘が二人おり、言葉も真面に話せない少女を養女にしている、そこにどんなドラマがあったのか、やはりその辺りを知るためにシリーズを遡って読んでみなければならないのではないかと、今は思っていますね。

この人の作品は初めてですが、なかなか筆達者で特にクセ強めのキャラが次々と登場し、それらの人物たちの口調が一々異なり口癖まで加えて描き分けているのには正直感心しました。
主人公で語り手の畝原は探偵としての仕事はきっちりこなしますが、推理して犯人を追い詰めるというのとは違い、偶然による解決に落ち着いています。それが別に不満とは思いません、話の流れの中で自然に辿り着くので違和感がないのです。取り敢えずハードボイルドとして合格でしょう、ただ驚くような展開や仕掛けがある訳ではないので、シリーズを通してそこまでの高得点は得られないかも知れません。

1レコード表示中です 書評