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ミステリの祭典

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虚構推理短編集 岩永琴子の密室
岩永琴子シリーズ

作家 城平京
出版日2023年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2023/05/13 03:50登録)
 今回は短編3本、中編2本を収録。
 冒頭の短編『みだりに扉を開けるなかれ』は、特殊設定パズラーの類ではなく、この世界観なら生じうる犯罪+非日常のコントという小品。こういうのもアリか? と鼻白むべきか、作風の幅が広がったと歓迎すべきか。

 2本目の短編『鉄板前の眠り姫』は、いかにも新本格っぽい内容だが、この趣向はまんまどこかで見たような……。まあ着地点が同じだったということであろう。

 3本目が最初の中編『かくてあらかじめ失われ……』で、決着の付け方に、おひいさまの意地の悪さ(見方によっては善意……かも?)がよく出てる話。

 4本目が短編『怪談・血まみれパイロン』。全体の妙なほのぼの感は随一で、現代のおとぎ話を読むような印象。

 最後が二本目の中編『飛島家の殺人』。
 不可能犯罪? の広義のフーダニット。このシリーズが時たま接近する「ブラウン神父シリーズ的な世界」の趣の一編。
 実は因数分解していくと、そんなに凝ったトリックもギミックも用意されていないのだが、しかして直球の? どんでん返しが、かなり……(以下略)。

 六花の立ち位置の推移がいささか気になる。かなり昔の某少年スポーツ漫画を連想したが、詳しいことはネタバレになるとまずいので言わない。しばらく黙って見守っていくべきか。そのうち、なんかあればあるだろう。

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