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ミステリの祭典

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ささやき

作家 立原透耶
出版日2001年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ぷちレコード
(2023/04/15 22:19登録)
音感ホラーとでも呼びたくなるような特異な着眼点が光る連作集で、全六編を収めている。
携帯電話、ベルやチャイム、サイレン、鈴の音、様々な人の声、雑踏の騒音。思えば現代社会は、何と多様で時には猥雑なまでの「音声」に満ち満ちていることか。そして、もしもそれらが超自然世界の媒介物と化すとしたら、世界はたちまちにして目に見えない恐怖に侵されることになるだろう。本書に通底するのは、そんな過敏なまでに研ぎ澄まされた「音声」に対する恐怖感である。
そうした感覚を忠実に伝えようとするあまりなのか、時に描写が饒舌に流れる点や、不用意な擬音語・擬態語の多用など、気になる点もあった。

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