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ミステリの祭典

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旅は道づれ死体づれ
ユーカリおばさん

作家 辻真先
出版日1984年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2023/04/01 22:29登録)
(ネタバレなしです) 1984年発表のユーカリおばさんシリーズ第2作のユーモア本格派推理小説です。1980年代にちょっとした建国ブームだったミニ独立国の一つであるジパング国会津芦ノ牧藩(1983年建国?)にヒントを得て、本書の舞台は町全体を時代劇調に改装して観光客誘致を目論む温泉町にしており、剣劇芝居の最中に起こった殺人事件の謎解きに取り組んでいます。テンポのいい文章で軽快に描かれてはいますが、それなりの人数の登場人物が入り乱れるので登場人物リストを作成して読むことを勧めます。本格派の謎解きは丁寧に考えられており、それなりに論理的な推理で犯人と某英国女性作家の1950年代の某作品を連想させるトリックが説明されます。あまりに不幸な理由で犯人に狙われた者がいるなど能天気ばかりではなく、そのためかユーカリおばさんが犯人に対してある意味厳しい態度で臨んだのは当然でしょう。そこはアガサ・クリスティーのミス・マープルシリーズの某作品を彷彿させます。

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