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ミステリの祭典

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海の門

作家 ボアロー&ナルスジャック
出版日1970年09月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 クリスティ再読
(2023/03/26 16:26登録)
義弟メリベルと不動産会社を経営するセーブルは、狩の後に恐喝者の訪問を受けた。ショックを受けたメリベルが猟銃で自殺するのをセーブルは止められなかった。しかし、セーブルはこの義弟と入れ替わって逃亡するという夢を抱いた...妹に言い含めてセーブルは会社が建てた無人のリゾートマンションに潜伏する。その元になぜか侵入してきた謎の女の正体は?

という話。ボア&ナル中期らしい悪夢的なサスペンス。貴族的な義弟に対するコンプレックスがあったのかな....とか思うのだが、このセーブルの入れ替わりの説得力があまりない。それを言っちゃおしまいんだがね。孤独な潜伏者としてのサバイバルのリアリティが眼目。でも無人のはずのマンションに誰かが隠れている?訪れてきたはずの妹が消失したのはなぜ?とかね。やや無理筋な謎設定もあるのだが、無理に無理を重ねた感がある。
まあそれでも最後に主人公が「対決」に赴くあたりに、ややノワール風の味わいがあるのが面白いか。フランス人だからそんな雰囲気が出るのも当然かな。

でなんだが、ポケミスの登場人物一覧での人物紹介で、ややバレに近い記載があるのが評者は興醒め。編集者はもう少し気をつけようよ。

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