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ミステリの祭典

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ロコス亭の奇妙な人々

作家 フェリペ・アルファウ
出版日1995年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ◇・・
(2023/03/11 18:31登録)
それぞれの短編には共通の登場人物が何人も登場するのだが、奇妙なのは同じ名前を持つそれらの登場人物たちが、共鳴し合うだけでなく同時に矛盾し合ってもいることだ。作品によって役割が変わったり、絶対にありえない形で結びついたりもする。作品内を自由に行き来する登場人物たちの複雑な関係を整理しようとしても、彼らは巧みにすり抜けかえって読者を困惑させる。
本書には、完結した確固たる世界は存在していない。あるのは絶えず流動し、不断に形を変え、読者の凝固した思考に亀裂を走らせ、内側から拡張させるような類のものである。
作品ごとの結びつきにとりとめがなさすぎるという非難もありそうだが、そこにはいくつものよじれた伏線が張られており、そうした作者のいささかマニアックな趣向を楽しめることもまた本書の魅力だろう。

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