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ミステリの祭典

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壺の町

作家 望月諒子
出版日2012年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2023/02/24 14:41登録)
 壮大な復讐譚と言うには妙に醒めている。見知らぬ男の手を使って理由も知らせず殺してしまい、そんなやり方で復讐心は満たされないだろう。
 “人工物” と言う点で壺に例えるのは的を射ている。この物語自体、“存在感があり目を惹くけれどどこまでも不自然な造形物” って感じ。種々工夫が見られてそれは面白いんだけど、土台の歪みを隠し切れてはいない。“町の風土” を持ち出す論旨は強引だと思う。

 相続について。相続内容は死亡した順番に左右される。
 作中では:父・母・娘・娘婿の家族。父母娘がまとめて死亡。厳密な死亡の順番は不明。
 この場合、“同時死亡の推定” が適用され、死亡者間の相続は発生しない。娘の財産は娘婿に行くが、父母の財産は娘に相続されないので娘婿には行かない。独り占めみたいに書いてあるのは作者のミス。

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