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ミステリの祭典

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量子人間からの手紙 捕まえたもん勝ち!
七夕菊乃

作家 加藤元浩
出版日2017年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2023/02/18 22:47登録)
元アイドルの捜査一課刑事・七夕菊乃と天才にして壊滅的な変人・アンコウこと深海安公。二人が挑むのは、密閉された倉庫や監視カメラの密林をすり抜けて殺人を犯す「量子人間」と、警察官僚の権力争い!?捜査の舞台はアメリカから日本へ。FBIもお手上げの連続不可能殺人を阻止し真犯人を追い詰めていく。ミステリ漫画界きってのストーリーテラーが放つ本格ミステリ第二弾!新感覚警察小説!
『BOOK』データベースより。

これ程不可解で不可能趣向の高い密室殺人ミステリは滅多に出会えるものではありません。特に第三の、厳重な警備の中何もない所から弾丸が飛び出して、防弾チョッキを通過して被害者の身体にめり込むという、とんでもない現象にはかなり興味を惹かれました。全四回に及ぶ密室殺人、七人に及ぶ被害者、非常警戒態勢の警察を嘲笑うように暗躍する見えない敵量子人間。この様に書くと物々しい雰囲気の怪奇趣味に溢れた作品と思われるかもしれませんが、そうではありません。意外と軽いタッチですんなり読める小説と思って下さい。

で、肝心の密室トリックですが、結論から言えば脱力系。ややバカミス系と言っても良いでしょう。緻密なようで意外と雑、それよりも警察の杜撰な捜査ぶりが目立って、ツッコミどころ満載です。普通に捜査していれば(特に鑑識)、簡単に絡繰りがほどけるはずですよ。
まあそんな事より真犯人の正体には驚きましたけどね。最後の最後まで謎のままで、結局そんな馬鹿な、みたいな結果に。ハウダニットよりもフーダニットとして楽しめました。

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