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ミステリの祭典

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黒い鉤の記憶

作家 トマス・マッコール
出版日1994年10月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 ◇・・
(2023/02/15 18:41登録)
一九八八年の五月、ホリーネーム大聖堂の告解室で女性が告解中に銃撃された。事件を担当したのは片足の女警部ホノラ・カラムであり、被害者はメキシコ人女性エヴァ・ラミレスだった。ドアを貫通した銃弾を腹部に受けて、危うく命を取り留めたその女性には、銃撃される理由は特にないように思われた。
事件の発端となる告解室での銃撃事件と何者かに殺されたロシア人の老人との不可解な繋がり、そして数十年前の忌まわしい事件の真相、市長の犯罪を隠蔽しようとする上司の陰謀など、秀作になる要素が本書に詰め込まれている。主人公に片足の女性刑事を配し、キャラクターの造形もよく書き込まれているといえる。それでも物足りない気持ちがするのは、ストーリーが有機的に働いていない感じがするからである。また、書き込みすぎで余韻がないという印象を受ける点も否めない。

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