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ミステリの祭典

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ガラパゴス

作家 相場英雄
出版日2016年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 猫サーカス
(2023/02/11 19:09登録)
日本の労働現場に広がる底知れない闇を覗き込み、背筋が凍る思いがした社会派ミステリ。警視庁継続捜査班の刑事・田川信一は、団地内の一室で見つかり自殺として処理された若い男性の遺体写真から、他殺だったことを見抜いた。田川は不明だった男性の身元を割り出し、彼が派遣労働者として在籍していた各地のメーカー工場を訪ね、一歩ずつ事件の真相に迫っていく。やがて不正を隠蔽する大掛かりな企みが殺人の裏にあったことが浮かび上がった。この小説が描き出すのは、家電、自動車などの工場で働く派遣など非正規雇用労働者の実態だ。募集時とは異なる低賃金、長時間労働でぎりぎりの生活を強いられた末、企業側の都合でのたれ死にしても構わないという態度の大企業、人材派遣会社の田川が出張を繰り返し、地道な捜査を進めて事件構図を明らかにしていく過程は、松本清張の「砂の器」を思い起こさせる。ミステリが謎解きの面白さだけではなく、時代を切り取り活写するのに有効であることを改めて気づかせてくれた。

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