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ミステリの祭典

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伝説の雀鬼・桜井章一伝

作家 柳史一郎
出版日1992年10月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2023/02/08 22:12登録)
桜井章一はいかなる相手にも状況にも決して屈しなかった。右頬に日本刀、左頬にドスを当てられ、親指の骨を折られたこともあった。それでも彼は、ただひたすらに牌を打ち続けた…。裏麻雀の世界を20年間無敗で駆け抜けた男の姿を克明に描いた幻の傑作、ついに文庫化。「雀鬼流」という哲学を見出すその陰には激しすぎる戦いの日々があった。
『BOOK』データベースより。

何だか小説を読んだ気がしません。それは著者があとがきで書いている様に、あくまでノンフィクションとして著したとしており、小説の持つ情感があまりなかったり勝負の裏にある背後関係等が薄かったりする為と思われます。人間ドラマとしてはそれなりですが、生々しさという点では物足りません。

桜井章一は所謂裏プロであり、仕事師であります。ですから勝負は牌を積んで親の場合サイコロの目を自在に出した時点で既に着いていると言ってもあながち間違いではありません。つまり積み込み(裏技)です。なので、闘牌シーンは白熱している様で実はそうでもありません。それよりも、対戦相手との洗牌からどう積み込むのかの勝負に注目が集まるのは、自然の成り行きと言えるでしょう。
20年間無敗の雀鬼、桜井章一の心情はよく描かれており、その意味では一読の価値はあると思います。しかし、麻雀のルールを知らない人は読んでも意味が解らないでしょう。

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