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ミステリの祭典

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光の塔

作家 今日泊亜蘭
出版日1972年06月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2023/02/03 11:57登録)
 人類の危機が進行しているのに語り手の家庭問題を同一線上で延々綴る語り口。最初は突っ込みどころに思えたが、読み進むにつれて血肉を具えた人間としてのキャラクター造形に引き込まれるように。一人一人の顔が見えるようなやりとりが、侵略戦争を単なる概要の説明ではなく、一段身近な物語へと引き寄せてくれた。第三部のSF的展開(転回?)も楽しい。
 解説の通り右翼っぽい雰囲気は確かにあり、その部分は作者の意図はどうあれ大仰な冗談のように思えてしまった。

 1962年に刊行されたSFだが、探偵小説的趣向も盛り込まれ、初刊が東都ミステリーなのはあながち牽強付会ではない。

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