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ミステリの祭典

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シミュラクラ

作家 フィリップ・K・ディック
出版日1986年04月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2023/02/03 11:53登録)
 “ディックの長編中、もっともプロットが複雑と評される” とのこと。
 複雑と言うか、“プロット” は考えてなかったんじゃないか、頭の中に幾つかの陣営のキャラクターを設定して好き勝手に動き回らせただけじゃないか、と思えて仕方がない。エピソード同士の絡み方がいかにも無計画で、きちんとしたオチは無いままカット・アウト。政界サスペンスと呼んでは誇大広告だろうし、シミュラクラが主要なテーマと言うわけでもない。
 しかしその、いわば必然的な支離滅裂さが妙な面白さを生み出してしまった。個人的には、先祖返りのチュッパーについてもっと突っ込んで欲しかったな。

 作中に出て来る “ジャグ” とは、酒瓶に息を吹き込んでぶぉ~と鳴らす奴。それでバッハとかを演奏する、と言うのはジョークとして書いてるんだよね、ディック先生?

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