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ミステリの祭典

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まほろばの王たち

作家 仁木英之
出版日2014年03月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 糸色女少
(2023/01/29 22:12登録)
験者を束ねる賀茂大蔵は、大化の改新を呪術でサポートし、朝廷の信任を得る。だが弟子の広足は、妖を無残に殺す大蔵に嫌悪感を抱くようになっていた。やがて広足は、大蔵を救った小角に仕えることになる。朝廷は、支配権を広げるため道路建設を始め、その工事に中央にあらがっていた山の民動員する。やがて都には人を喰う鬼が、山には土着の神を殺す神喰いが出没。小角は、相手が妖を送り込んできたと考え疑心暗鬼に陥った都の民と山の民の仲を取り持つため奔走する。
事件の発端となる道路は、開発か自然保護か、中央集権化か地方分権か、という現代にも通じる社会問題を浮かび上がらせていくので、テーマは重厚だ。小角は、信じる神やベースとなる文化が異なる人々が共存できる方法を模索するが、この展開は排外主義を強める現代日本への批判のように思えた。

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