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ミステリの祭典

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殺人者
木部美智子シリーズ

作家 望月諒子
出版日2004年06月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 虫暮部
(2023/01/19 15:09登録)
 事件の大枠をプロローグで明かしちゃって、残りの300ページ超は大丈夫なの? 大丈夫なのである。大トリックや大どんでん返しは無いが、それでも大丈夫なのである。とにかく読者の気持を呑み込む度合いが凄い。

 “○○は人の姿に見えるが、実際はもう、人ではないのかもしれない”
 人を殺した人非人、と言うニュアンスではない。孤独に濾過されて昇華してしまった魂について、この記述がストンと腑に落ちた。しかもそれ故に包容力に富み魅力的な人物であると言う逆説。
 そして犯人は逃げ切り、いや、逃げさえせず、その結末に私はまず何よりも “良くやった” と思ってしまった。作者の力業に浸蝕された気分である。

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