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ミステリの祭典

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恋物語
〈物語〉シリーズ

作家 西尾維新
出版日2011年12月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2023/01/15 22:42登録)
“片思いをずっと続けられたら―それは両想いよりも幸せだと思わない?”阿良々木暦を守るため、神様と命の取引をした少女・戦場ケ原ひたぎ。約束の“命日”が迫る冬休み彼女が選んだのは、真っ黒で、最悪の手段だった…。「物語」はその重圧に軋み、捩れ、悲鳴を上げる―。
『BOOK』データベースより。

これは詐欺師貝木泥舟が探偵の真似事を行う、シリーズとしては珍しい探偵譚となっています、否、ハードボイルドと言って良いでしょう。どんな経緯で仙石撫子が蛇神となって、暦とひたぎを殺そうと計画しているのかよく分かりませんが、戦場ヶ原ひたぎの依頼を受けて撫子を騙そうとするダークヒーローのひたむきさに心打たれました。悪のイメージしかない貝木泥舟が何故かその身を投げ打ってまで、ひたぎとの約束を守ろうとするのかも、貝木の一人称で描かれている為、その心情がよく理解できます。

謎も幾つか用意されており、その意味でもシリーズ屈指のミステリ寄りの作品でしょう。
ラストの貝木対撫子の勝負はなかなか迫力があり、クライマックスとしてはかなり盛り上がります。後味も良いです。しかし、この物語の主人公は本来なら忍野メメだったのではないかと思うにつけ、返す返すも彼の不在が残念でなりません。いつか復活する日が来るのでしょうか。

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