home

ミステリの祭典

login
謎解きはビリヤニとともに
カミル・ラーマン

作家 アジェイ・チョウドゥリー
出版日2022年12月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2023/01/14 00:31登録)
(ネタバレなしです) インド生まれの英国作家アジェイ・チョウドリーの2021年発表のミステリーデビュー作が本書です。主人公のカミル・ラーマンはかつてはコルカタ警察の将来有望な若手の警部補でしたが殺人事件の捜査で失敗して今ではロンドンで半人前のウェイター、しかしこちらでも殺人事件に巻き込まれるというプロットです。ロンドンの捜査とコルカタの捜査(の思い出)が交互に描かれる構成ですが、終盤になると2つの事件の意外な関連性が浮かび上がる演出はなかなか巧妙です。コルカタの事件は警察小説風(読者が推理に参加する余地はあまりない)、ロンドンの事件の方は謎解き伏線を回収しての推理が披露される本格派推理小説風です。それにしてもコージー派ミステリー風な日本語タイトルは内容とまるで合っていないですね(料理描写はありますけど)。終始シリアスで緊張感に満ちた作品です。あとハヤカワ文庫版の巻末解説ではインドミステリに言及していますが、H・R・F・キーティングのゴーテ警部シリーズも紹介してほしかったですね。

1レコード表示中です 書評