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ミステリの祭典

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MW ームウー

作家 司城志朗
出版日2009年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2023/01/06 22:43登録)
バンコクで起きた日本人誘拐事件。巨額の身代金と二つの生命を奪い犯人は逃走した。捜査にあたる警視庁の沢木は二人の男と出会う。LA新世紀銀行勤務の結城美智雄と、山の手教会で聖職につく賀来裕太郎。「俺たちは一枚のコインの裏表さ」二人はある共通の過去を背負って生きていた。一方、事件の取材を進めていた牧野京子は、十六年前とある島で起きた酸鼻な事件と疑惑に行き着く。その先には、政府により闇に葬られた凄惨な過去と、そのとき島に残された二人の少年の真実が―。手塚治虫原作の映画「MW」を、本格ピカレスク小説に昇華させた至高のノベライズ。
『BOOK』データベースより。

主役級の四人、銀行員の結城、神父の賀来、警視庁警部補の沢木、ジャーナリストの牧野京子はキャラが立っているし、脇役に至るまで個性を際立たせて描いているので、その意味では本作は成功と言えるでしょう。原作は手塚治虫でその映画化のノベライズなので、どこまで原作に忠実に描かれているかは知りませんが、細かいディテールは多分色々変更されていると思われます。時代が違いますしね、当然手塚治虫が書いた頃には携帯とかなかった訳ですから。

スピード感が有り、場面の切り替えも速くテンポが良いので、読み易さはありますが、読み応えと言う点ではやや物足りないでしょうかね。
結城は天才的で人としては冷酷ですが、これはある事件の影響で、その前の人物像が知りたかったところですね。誰に感情移入するかで、印象も違ってくる作品だと思います。ちょっとした謎とか事件が収束されていない箇所があり、何となく消化不良な面もあります。

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