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ミステリの祭典

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ロリータ

作家 ウラジーミル・ナボコフ
出版日1959年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 虫暮部
(2023/01/06 11:21登録)
 実際に読んでみると、とても本書が “スキャンダラスなベスト・セラー” だったとは思えないのである。コレからそこまでのものを読み取れた当時の読者は凄かった。何が?
 期待したようなエロティックなものでは全然ない。語り手ハンバートの煮え切らなさと保身、時たま頭に血が昇って起こす行動の突拍子の無さ、ばかりが前面に出ている。ロリータは決して無垢なだけのキャラクターではないが、かといってその早熟さも案外印象が薄く感じた。悪くはないが、長過ぎ。
 ところがラスト4分の1くらい、ロリータが消え去って以降が、坂を転げ落ちるような面白さ。あの手紙はショッキング! そして、“陪審席のみなさん” 云々の記述による基本設定について、ずっと騙されていたことに気付く。それこそ『アクロイド殺し』ばりの叙述トリック。いや、“少女との逃避行” って時点で犯罪か。じゃあ全編クライム・ノヴェルか(笑)。

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