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ミステリの祭典

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死霊の誘拐

作家 篠田秀幸
出版日2000年08月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2022/12/31 22:22登録)
カウンセラーの榊原久美子は、患者の少年加藤信二から恐るべき事実を知らされた。「山伏のような男を轢き殺してから、俺は能除太子の生まれ変わりだという怨霊にとりつかれている」というのだ。その夜、久美子は不倫相手の弘と車で帰宅中、なんと信二を轢いてしまう。信二は「の、能除太子」と呟きながら、息をひきとった。これも怨霊の呪いなのか?人間の孤独と不安を描くホラーサスペンスの傑作長篇。
『BOOK』データベースより。

あまり期待していませんでしたが、これは結構な拾い物だったようです。作者の描く本格ミステリと違ってテンポが良く、リーダビリティに優れ、ホラー、ミステリ、サスペンスの要素を存分に盛り込んでコンパクトに纏めているのは、褒められるべき点でしょう。ストーリーも二転三転し、やや詰め込み過ぎかと感じましたが、とてもスリリングでスピード感もあり、勿体ぶった所がなく好感が持てました。

以上、褒めポイントばかり挙げたので、逆にマイナス点を挙げるとするならば、登場人物が少ないので犯人が判りやすい事ですかね。それと最も不可思議な謎である、大袈裟に言えば死者の蘇りが論理的に解決されていない点でしょう。これはホラーとして捉えるならば許容範囲内です。だからこそレーベルがハルキ・ホラー文庫からの出版だったのも納得が行きます。

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