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ミステリの祭典

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牧師、閉鎖病棟に入る。

作家 沼田和也
出版日2021年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2022/12/29 22:46登録)
なぜ人を傷つけてはいけないのかがわからない少年。
自傷行為がやめられない少年。
いつも流し台の狭い縁に“止まっている"おじさん。
50年以上入院しているおじさん。
「うるさいから」と薬を投与されて眠る青年。
泥のようなコーヒー。
監視される中で浴びるシャワー。
葛藤する看護師。
向き合ってくれた主治医。

「あなたはありのままでいいんですよ」と語ってきた牧師が
ありのまま生きられない人たちと過ごした閉鎖病棟での2ヶ月。
Amazon内容紹介より。

本書を読んでいて思ったのは、たとえ牧師と言えども神様でも聖人でもない、一人の人間だという事。当たり前ですが、聖職者としては一個人として見られない面があり、精神科に入院することもあるのだという事実。そして、本当は覆面作家か誰かが書いたのではないのか思う程、文章が流麗でまるでプロの様である事です。

閉鎖病棟に二ヶ月、解放病棟に一ヶ月入って色々な経験をした作者、なかなか人生上手くいかないものですね。入浴時には若い女性看護師に監視されたり、おやつは火曜日と金曜日の午後三時にアルファベットチョコを2個だけだったり、トイレに関する事食事の事等々、健康的ではあるかも知れないけれど、人間的ではないなと感じたりしました。因みに私は毎日ガーナひと欠けとチョコまみれを1個食べています。贅沢してるなと思いますが、血液検査は至って正常でBMIは19くらいです。どうでもいいか。
又、著者は22歳の時に阪神・淡路大震災の被害に遭っており、それも人生を狂わせるのに一役買っている様です。蛇足ですが、精神科医自身が神経を病むことも結構あるそうですよ。

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