home

ミステリの祭典

login
死者からの人生相談
ラジオディレクター青木聡美シリーズ

作家 吉村達也
出版日1991年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 メルカトル
(2022/12/25 22:22登録)
人気ラジオ番組「電話人生相談」にかかってきた一本の電話…。それは数日前に殺された女性と同じ名前だった。単なる偶然か、死者の魂の叫びか。残された手がかりは埼玉・川越と伊豆・新島の市外局番、そして録音テープ。捜査が難航するなか、同じ手口で第二の殺人が起こった。事件の謎を解く鍵となる「音」を追って舞台は新島へ。そこで待っていたものは意外な結末だった。目と耳で読む本格推理。
『BOOK』データベースより。

まあまあでした。一応フーダニットに属する本格ミステリですが、やはり最も興味を惹かれるのはタイトル通り、どんなトリックで死者からラジオの人生相談された様に思わせるかですね。結論から言えばあまりそれに期待しない方が賢明って事です。それよりも、作者が詳しいラジオ制作の現場の実情や進行の仕方、プロデューサー、ディレクター、パーソナリティの関係性などの内幕が描かれているところに注目しましょう。

ディレクター青木聡美はラジオ収録の人生相談のテープ、言わば耳からの情報から事件の真相に迫り、一方刑事畑聖美は正攻法で捜査し最終的に二人は偶然にも鉢合わせすることになります。
又話の要所要所に犯人の独白が挿入する事によって、アクセントとして物語に影響を与え締まりが出てきている気がしました。こういう心遣いは読者にとっては嬉しいでしょうね。速書きと言われていた作者ですが、決して手を抜いていたとかそうした感じは受けませんでした。

1レコード表示中です 書評