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ミステリの祭典

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少女残酷物語

作家 山口椿
出版日2001年02月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2022/12/22 22:30登録)
老朽ビルの一室にあるテレビに映し出されたのは、“血だらけの平台の上で断裁される女たち”だった――。その残虐シーンを観てしまった美沙が、現実と幻想の境界を漂う「オーバーヒート」。暗闇の中、車を走らせるなつみを襲ってきたのは――なつみたちだった。そこから先の地獄絵図を素描した「入れかわり立ちかわり」など、書き下ろし八篇をふくむ、全二十篇を収録した恐怖と幻想の傑作集。
Amazon内容紹介より。

Ⅰ日本篇の最初の『ヒートアップ』を読んだ時、おーおーやってるやってると想像通りの内容にニヤリとしました。しかし、読み進めて行く程に期待していたのと違うと感じ始め、舞台は日本の筈なのに何か無国籍小説の様な印象を受けるようになりました。そしてⅡ日本篇の最後の『スターダム』でガラリと作風を変えて、それはまるで学術書の様だと思いました。疫病をテーマにし、それ自体の一人称で書かれたこの奇書には思わず唸らされました。こんなものも書けるのかという驚きと畏怖の念を覚えざるを得ません。

Ⅲ以降の西欧篇こそこの作者の真価を発揮しているものと思われます。この人の体質に合った物語に仕上がっているし、むしろ外国が舞台の方がしっくり来ます。それもアメリカとかアジアではなくヨーロッパでしょうね。印象に残るものも残らないものもありますし、作品の出来不出来も激しくオチが弱かったり何これ?って感じのもありますが、個人的な評価は決して低くはありません。
ホラーと言うより怪奇小説とか幻想小説でしょうかね。

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