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ミステリの祭典

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サスペンス作家が人をうまく殺すには
ロマンティック・サスペンス作家フィンレイ・ドノヴァン

作家 エル・コシマノ
出版日2022年09月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 人並由真
(2022/12/18 15:27登録)
(ネタバレなし)
「わたし」こと31歳の二児の母フィンレイ(フィン)・ドノヴァンは、売れないロマンティック・サスペンス作家。夫だった造園事業者スティーヴンが不動産業の若い美人テレサ・ホールと不倫を働いたので離婚したが、元夫が今は彼の婚約者となったテレサの世話で多くの仕事を受注し羽振りがいい一方、フィンの方は創作も進まず、多額の請求に苦悩していた。そんななか、フィンは出版エージェントのシルヴィア・バーとレストランで著作の打ち合わせをするが、会話中の殺人だのの言葉を本物の殺し屋の業界用語と勘違いした近くの見知らぬ女性が、一方的に殺人の依頼を持ち掛けてきた。

 2021年のアメリカ作品。
 面白そう、だけど、どっかで聞いたような……読んだような、そんな設定から始まる、半ば巻き込まれ型のユーモア・サスペンス。

 翻訳文も潤滑で作劇上のキャラの出し入れも活発だが、大筋の割に小さめの級数の活字の創元文庫で約450ページの紙幅はいささか長すぎる感じ。
 あと、中盤からのネタバレになるのであまり書いてはいけないが、途中から主人公のフィンにはパートナー格の人物が配置され、窮状を分け合う形になる。そのため二人でやればなんとかしのげる、のニュアンスで、いささか緊張感が薄れてしまった感じ。
 
 前半で生じた殺人事件の真犯人は意外といえば意外だが、作者の演出が正直ヘタなので、あ、そ、という程度の感じ。クライマックス以降の展開も全体に力業過ぎる印象。

 つまらなくはないが、本当は、用意されたいくつかのネタなら、もっともっと面白く作れたんじゃないかな、という感触の一本。

 なお本作はシリーズ化されて、本国ではさらに続刊が出ているらしい。
 翻訳で続きが出たら、まずはヒトの評判を聞いてから読むことにしようか。

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