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ミステリの祭典

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黒鳥の湖

作家 宇佐美まこと
出版日2019年12月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 パメル
(2022/12/03 07:48登録)
財前彰太は、かつて興信所の調査員をしていた頃、依頼人からある事件の情報を聞き、それを利用して人知れず罪を犯したという過去があった。ところが十八年の時を隔てて同じ手口の犯罪が発生し、それをきっかけに彰太の日常は崩壊してゆく。
「白鳥の湖」に即して書くならば、誰が黒鳥なのか。背後で操る悪魔は誰なのか、つまり誰が隠し事をして嘘をついているのかが、物語の焦点になる。笑顔で善意を見せていても、本心はどうなのか。怪しい人物はあれこれ登場する。財前を取り巻く登場人物はかなり多く、それぞれが思惑を抱えているので、話の進行も錯綜を極める。娘が非行に走るなど、幸せだった家庭が見る見るうちに瓦解する中、財前は過去と現在の事件の真相を知ることで、十八年前に犯した自分の罪と向き合い、ひそかに抱えていたものが明らかになる。登場人物の裏の顔が暴かれる過程など、目の前のすべてが変わって見える時が訪れ、足元が崩れる展開に襲われる。真犯人の衝撃的な正体は、作者の本領発揮といえる。

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