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ミステリの祭典

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巫女の棲む家

作家 皆川博子
出版日1985年08月
平均点8.00点
書評数1人

No.1 8点 虫暮部
(2022/11/24 12:27登録)
 “霊媒” の一語で始まるが、その交霊術はホンモノではない。しかしそれが人の心の中で蠢き、悪意ではなく心霊現象的事象が生まれ、ホンモノの定義が揺らぎ、信仰が成立するさまが、非常な説得力で描かれている。複数の語り手の思想の違いが、そして彼等がその道に踏み出す気持が、伝わって来た。心の弱い人がそうなるんだろうなんて安易な理解は斬って捨てられるのだ。
 四割くらい作者の経験談だそうで納得。この面白さは危険だなぁ。私は、カルトに嵌まる下地を本書で調えられてしまったかも……?

 ところが結末で急転直下、乱暴な着地を遂げてしまう。この雰囲気には覚えがあるぞ。風呂敷を広げ過ぎた連載漫画が、期待したほど人気が出ず、あと3回で完結させて下さい、ってことで急いでまとめにかかるあの感じ。ページ数の制限があったのだろうか。作者の望んだエンディングとは思えない。

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