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ミステリの祭典

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悪霊七大名所の殺人
柏木美也子シリーズ 旧題「平家谷殺人行」

作家 山村正夫
出版日1988年07月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 nukkam
(2024/12/31 17:02登録)
(ネタバレなしです) 「十和田殺人湖畔」(1987年)で活躍したツアー・コンダクターの柏木美也子を名探偵役にした短編本格派推理小説7作を収めた1988年の短編集で、当初は短編の1つである「平家谷殺人行」というタイトルでの出版でした。日本各地の悪霊名所(これって縁起でもないと観光の目玉になりえないのでは(笑))での奇怪な殺人事件を扱っていますが、良くも悪くも平明な文章の作家なのでオカルト演出はそれほど凝ったものではありません。もっとも「ムサカリ絵馬の惨劇」や「亡霊の宿」などはオカルト本格派ならではの仕掛けがあります。短編なので仕方のないところではあるのですが、丁寧な推理説明が印象的だった「十和田殺人湖畔」と比べると、謎解き伏線が不十分なまま思いつきレベルの推理という作品が多くて本格派としては物足りません。「巡礼不可能殺人」は美也子のせっかくの推理が反証で破綻して謎が深まるというひねりが印象的なだけに解決が強引なのが惜しまれます。

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