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ミステリの祭典

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アップルシード

作家 士郎正宗
出版日1985年02月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 クリスティ再読
(2022/11/11 21:27登録)
サイバーパンクの話の続き。評者他人に本を借りパクされたり差し上げたりはよくするのだけども、本作は珍しく、逆。映画館で知り合った若い方に布教されて、いただいた本(2巻まで)。確かにアノ時代流行った本なんだが、評者オトコノコじゃないせいか、どうもピンと来なかった。まあだけど今回80年代サイバーパンクをテーマにしたからには、続きも読もうじゃないの。

言ってみればSF仕立てでポリスアクション。でも捜査はしなくてSWAT所属だから、突入とか荒事の専門職。最初の2巻はやや話がつながっていて「長編」という印象もあるけども、3・4巻あたりになると「アクション」はあっても事件の起承転結がはっきりしなくなって、物語の輪郭が読んでいてちゃんと取れない。未完作ではあるけども、「大きな一つの物語」になるというよりも、「そういう日常話」みたいに読むしかないのかな。「日常」とはいえ、過剰なSF考証とミリ知識の蘊蓄で物語が押しつぶされるような印象。でこの人、絵のデテールに凝りすぎる反面、結構絵づらで把握される内容がコマの間で「飛んで」いるような...だから絵で見たときの「話」の繋がりがわかりづらい。

サイバーパンク、で言えば、サイバースペースはなし。パンク要素もなし。ジャパネスクも目立たない。生体工学が発達して、人間をベースにしたバイオロイドとの共存、というのがテーマなんだけども、そうエグい話になっているわけでもない。設定過剰なSFに「サイバーパンク」が乱用された時期だから「サイバーパンク」だったのかな。美少女メカ漫画の典型なんだけども...パトレイバーと並んで、「女の子がフロントで、男がバックアップ」のパターンを作った作品でもあるわけだ。

すまぬ、評者が一番相性が悪いタイプの作品みたいな気がする。本を下さった方には申し訳ない。

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