home

ミステリの祭典

login
姉川の四人 信長の逆切れ
四人シリーズ

作家 鈴木輝一郎
出版日2013年08月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2022/11/02 22:56登録)
あの屈辱の金ケ崎の敗戦から三ヶ月。復讐に燃える信長は、盟友・家康をこきつかい二倍近い大軍で浅井長政領内奥深くに攻め込む。楽勝かと思いきや、とことん弱い織田勢は…大誤算にキレる信長、一撃で粉砕、弱すぎる秀吉、どこにいる?光秀、またも巻き込まれた家康。のちの天下人・四人の悪戦苦闘をコミカルに描く痛快歴史小説。
『BOOK』データベースより。

信長、秀吉、光秀に振り回される家康と云った構図で姉川の合戦が描かれる歴史小説。兎に角この主役四人の個性がぶつかり合って、様々な軋轢や友情を生み出す辺りが読んでいて飽きが来ず、面白いのです。
中盤の見どころの一つは、信長と家臣の稲葉一鉄との舌戦でしょうね。口下手だけど凄い迫力の信長と一歩も引かない一鉄の対決は、凄まじい緊迫感を醸し出し、戦国時代ならではの命の遣り取りが垣間見えます。

終盤で宿敵浅井長政と朝倉孫三郎の連合軍対信長、家康連合軍の姉川の合戦は熾烈を極め、戦に圧倒的に強い浅井長政に苦戦を強いられながら、果たしてどんな戦略で挑んでいくのかが主眼となっています。
そして勝利を収めた信長が武勲を挙げた一介の足軽達を一堂に集め、一人一人の手を握り「次も頼む」と一言伝えていくシーンには思わず涙が流れてしまいました。
作者の鈴木輝一郎はあまり知られていませんが、日本推理作家協会賞を受賞した事もある人です。ただその後、早々に時代小説にシフトチェンジしていったのである意味残念かも、ですね。

1レコード表示中です 書評