home

ミステリの祭典

login
時の他に敵なし

作家 マイクル・ビショップ
出版日2021年05月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 糸色女少
(2022/10/13 22:36登録)
数奇な生い立ちの黒人青年ジョシュアは、夢の中で繰り返し石器時代に時間遡行する特異体質の持ち主。世界的に有名な古人類学者に見込まれ、アメリカ某国が莫大な予算を投入した国家的プロジェクトの被験者となる。
小説は、時系列順に語られるわけではない。順番がバラバラになった家族写真のスライドショーさながら、現在と過去を行き来しながら、徐々に全体像が見えてくる。現在パートの中心は、200万年前に飛んだ主人公が未来との連絡を絶たれたまま、化石人類の集団に加わって生き延びる冒険譚だが、ジャンルSFの文法を徹底的に踏み外す点が特徴で、まさかここまで変な話だったとは。
ディテールの輝きとテーマ性は、40年を経ても色褪せず、幻の名作の名に恥じない独創的な時間SFの大作だ。

1レコード表示中です 書評