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ミステリの祭典

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命ある限り
87分署/別題『命果てるまで』

作家 エド・マクベイン
出版日1977年11月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点 tider-tiger
(2022/11/13 17:44登録)
~女性に関してはいろいろとあったバート・クリング刑事だったが、このほどようやくファッションモデルをしているオーガスタス・パブロ(オーガスタ・ブレアだったか?)と御成婚。ようやく幸せな家庭を築くことができるのかと思いきや、結婚式の直後にこの花嫁が忽然と姿を消してしまった。

1967年アメリカ。さほど深掘りはせずコンパクトにまとめたサイコサスペンスといったところです。87分署的にはいくつかあるバート・クリング不幸話の一つとでもいいましょうか。本作を読む前にせめて『クレアが死んでいる』だけでも読んでおきたいところです。それにしても作者はどこまでバート・クリングをいたぶれば気が済むのか。

レギュラーメンバーのキャレラ刑事、ウィリス刑事らだけではなく、有能で不快な一級刑事ウィークスも加わって少ない手がかりを頼りに犯人の正体に迫っていきます。が、肝腎のクリング刑事は蚊帳の外に置かれてしまっています。被害者とあまりにも近い人物なので捜査に参加させないのは理解できます。ただ、小説としてはもう少し彼の心理状態なり行動なりを描いてもよかったのではないかと思います。
あいかわらず本筋にからまない無駄な聞き込みなどが多いのですが、箱のエピソードは笑えました。
大袈裟なことはしなくとも底知れぬ不気味さを醸す犯人の描き方はうまいと思いますが、87分署の他の作品でも見かけたことのある犯人像のような気がします。
まあまあの作品。どちらかといえば悪い意味で。小器用にまとめてはおりますが、水準よりも下の作品でしょう。後述しますが、読んだことすらすっかり忘れておりました。
デブのウィークス刑事を採用したのは正解だったと思います。彼の存在がこの作品をずいぶん救ってくれています。

邦題は当初の徳間書店版では『命ある限り』でしたが、早川書房版では『命果てるまで』に変わっております。
このタイトルは結婚式の誓いの言葉(二人は命ある限り末永くウンヌンというやつ)から採られているようなので、最初の徳間書店版が正解のような気がします。結婚式の誓いの言葉で『命果てるまで~』はちょっとどうかと。
自分が所有しているのは命果てる早川版です。

昨夜、実家に行ったら両親がTVドラマを観ておりました。『初夜に消えた花嫁』という『刑事コロンボ』作品でした。未視聴だったので観てみようかと画面に向かいました。
ドラマは終わり「あら、エド・マクベインなのね」
スタッフロールを観ながら母が言いました。母がエド・マクベインを知っていたことに驚きましたが、それはさておき、スタッフロールには確かに『原作エド・マクベイン』とあります。
ここでようやく、そういや87分署にクリングの嫁さんが結婚式のあとに誘拐される話があったなと思い出した次第です。
刑事コロンボ版は無駄な聞き込みとウィークス刑事が除かれていたくらいで原作にかなり忠実でしたが、あまりコロンボらしくない作品でありました。

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