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ミステリの祭典

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死球(デッドボール)
私立探偵マーク・レンズラー

作家 ポール・エングルマン
出版日1986年06月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 tider-tiger
(2022/09/25 16:14登録)
~元野球選手にして現在は探偵業を営むレンズラーの元へ、恐喝に悩まされる美女から依頼が舞い込んだ。そして、ベーブ・ルースのシーズン最多本塁打の記録を抜くのではないかと期待されているマービン・ワレスも卑劣な脅しに悩まされている。二つの恐喝事件が絡み合い、やがて……。

1983年アメリカ。シェイマス賞受賞作品。メジャーリーグを舞台にしたハードボイルド。水準作といったところか。変にゴチャゴチャしていて筋運びに鈍重なところがみられるが、まあまあ面白い。キャラは一部の狂的な人物を除くと平凡か。語り手がせっかく元野球選手なのに野球の蘊蓄がほとんどないのが少し寂しい。
すごく良いところもすごく悪いところもない、なんとも書評を書きづらい作品。野球界に確かに接してはいるが、その舞台を活かしきれていない印象。序盤、中盤はまあまあ。終盤はなかなか良かった。

ハードボイルド系の作品を読みつけていない人の方が楽しめそうな作品。複数の人間の思惑が絡みついて、妙にベトベトした真相に辿り着く。なにかスッキリしないところがある。悪役がどこか腹を括れていない感じがもどかしい。
文章は全体的にやや精彩を欠き、特に大袈裟な表現がどうにも馴染めなかった。ただ、訳者あとがきでは、その大袈裟な表現が評価されていた。きちんと狙いがあってやっていることだと。


邦題の『死球』は話の筋とは関係がない。もともとは野球選手だった探偵のレンズラーが選手時代に死球を受けて片方の目を失ったことに由来しているのだろう。原題は『Dead in center field』

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