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ミステリの祭典

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ひとでちゃんに殺される

作家 片岡翔
出版日2021年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2022/09/21 22:42登録)
「縦島ひとで、十六歳です」悪魔に憑かれた教室を救うには、誰か一人の命を生贄に差し出すしかない。謎の転校生の正体は⁉ 読み進める手が止まらない! 戦慄の学園サスペンスホラー。
宙を舞うスキー板が、地下鉄の鉄扉が、そして墜落する信号機が、次々と呪われた生徒の首を断つ……。クラスメイトの怪死事件が相次ぐ教室に、漆黒の制服を着た謎の転校生がやって来た。圧倒的な美貌で周囲を虜にし、匂い立つような闇を纏う彼女の正体は!? 悪魔に魅入られた高校生たちが迫られる、究極の命の選択!! 「言ったでしょ? ひとでなしのひとでちゃんって」
Amazon内容紹介より。

タイトルから漂うB級ホラー臭やラノベ臭は微塵もありません。心底読んで良かったと思わせる作品でした。まず目を引くのは目次です。これを見てあれっと思うのは私だけではないでしょう。詳細は避けますが、それだけ凝った構成になっているという証左です。学園物であるのは間違いありませんが、ホラー、サスペンス、ミステリのそれぞれを良い所取りした様な作風だと感じました。

テンポ良く話は進み、若干淡白な文体と思えるのがやや物足りなさに通じますが、読み進めるための推進力と思えば苦にはなりません。むしろ先が気になって仕方ない、心憎いまでの筆力を実感します。
最大の見せ場は終盤にやって来ます。生徒達の心理戦と怒涛の展開は正に圧巻です。これに関してはAmazonで似たような表現をされているレビュワーがおられますが、それは全くの偶然です。単に同じ感想を持った人が書き込んでいただけの話で、あり得ない事とは思いません。ただ、1点付けた人の気持ちは理解できませんけど・・・。そして、ラストはホラーのくせに泣かせやがって、畜生。
一作だけ読んで結構高評価を付けた作家でも、必ずしも他の作品を読んでみたいとはなりませんが、この人の作品は読みたいと今思っています。近日中にそれが現実となるでしょう。

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