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ミステリの祭典

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日本SFの臨界点[怪奇篇]  ちまみれ家族
伴名練編

作家 アンソロジー(国内編集者)
出版日2020年07月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 メルカトル
(2022/09/06 23:10登録)
「2010年代、世界で最もSFを愛した作家」と称された伴名練が、全身全霊で贈る傑作アンソロジー。日常的に血まみれになってしまう奇妙な家族のドタバタを描いた津原泰水の表題作、中島らもの怪物的なロックノベル「DECO‐CHIN」、幻の第一世代SF作家・光波耀子の「黄金珊瑚」など、幻想・怪奇テーマの隠れた名作11本を精選。全作解題のほか、日本SF短篇史60年を現代の読者へと再接続する渾身の編者解説1万字超を併録。
『BOOK』データベースより。

誰が何と言おうと一度読んだら二度と忘れられない短編第一位、中島らもの『DECO‐CHIN』を再読(いや三度目か四度目か)しようと思い、探してみましたが大量の書物に阻まれて見つけられなかったところに、本書が目に付き早速購入しました。『DECO‐CHIN』は別格として結構面白いじゃないかと思いながら読み進むも、次第にトーンダウン。
ハードSFは少ないものの、様々な味わいのSFっぽい小説が並んでいます。本格的なSFと云うより、これもSFなのかと思うような作品が多い感じがしました。これまで名前も聞いたことの無い作家の名前が並び、これはやはりコアなSFファンの読むべき作品集なのではないのかとの思いを強くしました。

個人的にお気に入りは岡崎弘明の『ぎゅうぎゅう』、山本弘『怪奇フラクタル男』、中田永一(乙一)『地球に磔にされた男』光波燿子『黄金珊瑚』辺りですかね。表題作は無茶苦茶な展開で、必要最低限の情報で纏め上げた荒唐無稽な小説。最初は訳解らんなあって感じでしたが、後からジワジワ来るやつでした。石黒辰昌の『雪女』はハードで色々考えさせられる作品。
SF初心者の私にはやや敷居が高かったかも知れませんが、色々考えた末7点としました。読み始めて二、三作目までは8点かなと思ったんですけどね。

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