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ミステリの祭典

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プレイボーイスパイ城京助の華麗なる大冒険
「K7」城京助

作家 津山紘一
出版日不明
平均点4.00点
書評数1人

No.1 4点 人並由真
(2022/08/15 03:59登録)
(ネタバレなし)
 秘密組織「JAX」の秘密諜報員・城京助はコードネーム「K7」と殺人許可証を持つ凄腕の非合法工作員。上司の矢沢局長の命を受け、技術開発部のスタッフE5号の支援のもと、世界各地のあらゆる任務に飛び回るが、彼の行く先々では予想もしない事態が巻き起こる。

 Amazonの書誌データ表示が不順だが、初版(元版)は1979年12月に集英社からハードカバー(定価780円)で刊行。「週刊プレイボーイ」の1978~79年に掲載された3本の中編に、単行本書き下ろしのラスト中編エピソードを加えた全4編の連作で構成されるスパイ活劇ナンセンスコメディ。

 第一話では主人公・城の行動が「私」当人の一人称で叙述され、これは欧州での出張任務を語る比較的マトモ? なエスピオナージギャグコメディだったが、読者や編集部の反応がよくなかったのか? 第二部から路線を少し変更(なけなしのハードボイルド風の雰囲気も放棄し、叙述もあちこちに視点がとぶ三人称に変更)。
 その第二話などはジェームズ・ボンドやらエルキュール・ポアロやらおなじみのキャラクターたちを登場させた(ただしあくまでギャグキャラとして)パロディ色に加えて、以降の話も全体的にナンセンスムードが強くなり、正直、アア、ムカシハコウイウノガヨクアッタネ……程度の中身になっていく。
 
 正直、著者の作家性の探求でもしなきゃならない事情でもないかぎり(そもそもそんな必要生じる事由もないが)、21世紀にあえて読まないでもいいんじゃないの、という一冊であった。
 たまたまモンキー・パンチのイラスト(たぶん「プレイボーイ」誌面から転載? 最後の分だけ書き落ろし?)が目について、たまにはこんなのも面白そうかも……と思って手を出したこっちがアレである。
 おかげで初めて手に取ってから、読了までに半年ほどかかった。
(それでも連作シリーズものの流れとしては、最終編が城の数十年後の未来編に至るのは、ちょっとだけ面白かったかも。)

 70年代末という時節、どういう作品が「スパイもののパロディギャグコメディ」として書かれていたのか(たぶん若者向けに)、ひとつのケーススタディ程度にはなるとは思う。

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