(2022/08/11 21:49登録)
(ネタバレなしです) カナダの女性作家ヴィッキ・ディレイニー(1951年生まれ)は元はコンピューター・プログラマ-で作家業は片手間でしたが(2000年に作家デビューしたが第2作は2005年に発表された)、専業作家になってからは年2作以上のハイペースで複数のシリーズ作品を抱える人気作家です。2015年発表の本書の舞台は1年中クリスマスの雰囲気を楽しめるクリスマス・タウンのルドルフです(コージーブックス版の巻末解説で紹介されている赤鼻のトナカイの名前と同じ。ちなみに本国ではこのシリーズ、「Year-Round Christmas Mystery」と呼ばれてます)。シリーズ第1作というためか伝統に沿って本書の作中時代は12月となっています。多くのコージー派ミステリー作家がクリスマスを背景にした作品を書いてますが、同じカナダ人作家なら何たってシャーロット・マクラウドの「にぎやかな眠り」(1978年)でしょう。本書と読み比べてもいいかもしれません。ただ残念ながら本書は主人公のメリー・ウィルキンソンが探偵役としては積極的でなくてマクラウドに比べて謎解きが盛り上がらず、推理もほとんどないままに場当たり的に解決してしまいます。動機がなかなかユニークですが、これも後出しで判明しています。
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