home

ミステリの祭典

login
寂しい夜の出来事
私立探偵マイク・ハマー

作家 ミッキー・スピレイン
出版日1981年01月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2022/07/24 23:56登録)
スピレインの共産主義嫌いが露骨に表明された作品で、マイク・ハマーは「奴らにくらべたら、ナチだって鼻たれ小僧みたいなもんだ。」とさえ考えています。そういった彼の思想が存分に地の文で書かれた作品です。
一方では、冒頭の霧の夜ハマーが橋の上にたたずむことになる理由は、判事から、人を殺すのを楽しんでいるおまえは平和な社会の中では存在理由が見つからないなどとののしられて、落ち込んだためで、自己否定的な気分も、かなりしつこく描かれます。判事の夢を見たことまで書かれているほどですが、やはり俺は暴力的方法で事件を解決するんだということにならなければ、スピレインになりません。そんな憎しみと暴力性に対するねじれた感情が延々書き連ねられているという点では、ハードボイルドらしくありません。
プロットは、最後の意外性部分で話をごちゃつかせてしまったように思います。

1レコード表示中です 書評