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ミステリの祭典

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雨の日のアイリス

作家 松山剛
出版日2011年05月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 メルカトル
(2022/07/07 22:48登録)
ここにロボットの残骸がある。『彼女』の名は、アイリス。正式登録名称:アイリス・レイン・アンヴレラ。ロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女が、何故このような姿になってしまったのか。これは彼女の精神回路から取り出したデータを再構築した情報―彼女が見、聴き、感じたことの…そして願っていたことの、全てである。第17回電撃小説大賞4次選考作。心に響く機械仕掛けの物語。
『BOOK』データベースより。

第一章は博士(女性)と博士が造った人間と見た目は全く変わりないロボットとの、平和な生活を描いています。このロボットはその言葉に似つかわしくない、少女型のメイド風な容姿をしており、自分の事を僕と言う事に違和感を覚えます。第二章は一転、主人公の少女型ロボットが転生し、過酷な労働を強いられます。降りやまない雨の中、救いのない日々が続きますが、そんな中でも二人の仲間を見つけ、密かな読書会が開かれます。第三章は冒険と激しいバトルの物語。登場人物がロボットでなければ、完全なスプラッターですね。ここで描かれる戦闘シーンに私はシビれました。感動したと言っても良いでしょう。このような経験は初めてです。それだけ作者の描写力が優れていたという事になると思います。或いは私の心に突き刺さる何かを持っていたと言えるでしょう。そう、まるで迫力ある劇画或いはアニメを観ている様な感覚に近いかも知れません。最終章のテーマは救済ですね。

以上の様に完全に起承転結に則った本作は、章ごとに作風を変え読者をグイグイ引っ張っていきます。Amazonでも評価の高い作品であるのは身をもって実感しました。一応泣けるラノベとして捉えられている様ですが、それも納得の出来だと思います。私は泣けませんでしたけど。

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