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ミステリの祭典

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神の名のもとに
犯罪事件記者モリー・ケイツ

作家 メアリー・W・ウォーカー
出版日1995年07月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 ROM大臣
(2022/08/26 12:29登録)
テキサス州で活動している狂言的な宗教集団「ジェズリールの家」のメンバーが、スクールバスをハイジャックし、小学生とバスの運転手を人質にとった。教祖のサミュエル・モーディカイは、五十日後には世界が滅亡すると予言し、それ以来、人質たちの生死もわからぬまま、取り締まり側との間には、四十六日間の硬直状態が続いていた。
取材に対するモリーの姿勢、子供たち一人一人の様子、たわいもない冒険物語に秘められた重い戦争体験、関係者の暮らしぶりや考え方、そしてモリーが面倒を見なければならなくなった老犬のしぐさからも、作者はそれぞれの人生とともに、デミングという人物を多面的に浮かび上がらせている。言葉を噛みしめれば噛みしめるほど、デミングの内面がより深く見えてくる。

No.1 6点 メルカトル
(2022/07/03 22:55登録)
邪教集団「ジェズリールの家」の近くで、小学生17人を乗せたスクールバスが、AK‐47銃で武装した男たちに取り囲まれ、子供たちは地面に掘った穴の中で人質になった。教団では生後50日めの赤ん坊を、神に返すといってすでに42人も鎌で殺している。女性事件記者のモリー・ケイツは恐るべき陰謀に挑むが…。
『BOOK』データベースより。

物語はスクールバスを乗っ取られ教団の敷地内に掘られた穴蔵にバスごと閉じ込められた子供たちと、バスの運転手であるウォルターのパートと、教団「ジャズリールの家」の教祖で自ら預言者と名乗る男の生い立ちを追う女記者モリーのパートが交互に語られます。ストーリーの面白さと言うより、堅実な語り口調でじっくり読ませます。終盤漸く教団内に侵入するモリーともう一人の女性と、教祖モーディカイとの対決を除いてはこれと言って盛り上がるシーンはありません。それでも魅力的な人物がかなり登場し、モリーとの会話を通じてそれぞれの人間ドラマを知ることになります。ことにウォルターの友人アレスキーのベトナム戦争の体験などは心に残ります。

オウム真理教の様な終末思想にかぶれた邪教に新味はありませんが、物語の中枢を占めるものなのでその辺りもう少し掘り下げても良かったと思います。
しかし、全体として良く纏まった印象で、子供たちの中に喘息を患った子がいて薬も与えられない状況や、モーディカイの隠された秘密を探っていく段階などはじわじわと緊迫感を印象付けるのに一役買っています。

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