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ミステリの祭典

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みちのくの人形たち

作家 深沢七郎
出版日1982年11月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点 ◇・・
(2022/06/30 18:48登録)
自己の意識内に置かれた事象たちは我々たちにとって安全で親しいが、その親しさの中から俄かに顔を出す「家中にあって家中にあらざるもの」、それが「不気味なもの」だ。
この小説は、一見親しく穏やかな日常世界を描きながら、ある瞬間、不意に読者を「不気味なもの」と出会わせ、その暗中で孤絶させる。
不気味さはその内容以上に、独特な語り口にある。文末「と言う」、「のだ」の多用や、語り手を殊更無学に見せるための故意に稚拙な文体。それら表現方法は深沢の真骨頂だが、彼の小説は一個人が外部に晒されることの衝撃を超え、日本という共同体さえ脅かす危険な他者性をはらんでいる。

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